腰椎側面 腰痛部位5

 椎間板性の腰痛については次のような二つの極端
な意見があります。

 1.背屈で痛む場合の多くは椎間板性腰痛である。
   日本腰痛学会雑誌, Vol. 12 (2006) No. 1 pp.180-183

 2.椎間板性腰痛なんて無いのではないか。
     加茂整形外科のホームページより


 私の意見は
「背屈で痛む場合の多くは筋・筋膜性腰痛で、ごく一部は椎間板性腰痛である。」

その根拠は、背屈で痛む症例の多くは右図のように腰部の下
位(第5腰椎付近)に圧痛があり、その場合にはここにトリガー
ポイント注射をするとすぐに痛みが消失します。これは、椎間
板性腰痛ではなくて筋・筋膜性腰痛(多裂筋の障害)であるこ
との証拠です。

 ところが、こんな例がありました。
26歳の男性で、腰痛がひどく、体をわずか動かすだけでも強い痛みを生じていた。 レントゲンでは異常なく、多数の圧痛点があったので、 トリガーポイント注射で全ての圧痛点を取り除いた。 しかし、起き上がろうとするとなお強い腰痛があったので今度は、 仙骨部硬膜外ブロックを行った。これは良く効き、歩いて帰ることができた。 後にMRIを撮影すると、椎間板ヘルニアの初期(髄核が脱出しかかった状態)であることが判明した。

 これは、椎間板性腰痛と判断してまず間違いないと思います。圧痛が見られたのは、 椎間板の炎症により周囲の筋肉に疼痛反射が起こったのだと考えられます。 私は、年に2000例近くの腰痛の患者さんを診察していますが、このようなケースは 年に数例しかありません。ですから、上の1.も2.も賛同しかねるという次第です。

 最後に一言、「椎間板の変性⇒椎間板性腰痛」 とは限りません。

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