腰椎側面

 急に生じた腰痛を急性腰痛症という人もいますが、正しい定義ではありません。
ましてや、「急性腰痛=ぎっくり腰」と言っている人もいますが、間違いです。
急性・慢性の違いは単に腰痛の持続期間です。

 急性腰痛・・・腰痛の持続期間が6週間未満
 慢性腰痛・・・腰痛の持続期間が12週以上

     ★腰痛の持続期間が6週〜12週のものを亜急性腰痛という場合もあります。
     ★腰痛の持続期間は、定義によって多少異なるものもあります。

 つまり、急性・慢性は原因によって分類されているわけではないのです。


 @急性腰痛となりうる腰痛

  @)ぎっくり腰
    腰の筋肉の一部が痙攣して起こります。

  A)腰椎捻挫
    外傷により、筋肉・靭帯・椎間板などに損傷が生じて起こります。

  B)椎間板性腰痛
    椎間板ヘルニアのなり始めに起こることがあります。また、腰椎捻挫で生じることも
    あります。

 もちろん、これらの腰痛が12週間(または3カ月)以上長引けば、慢性腰痛となるわけです。

 腰椎圧迫骨折は急に痛みがくることも多いのですが、なかなか6週間以内では 痛みがとれません。この場合は、発症が急でも最終的には亜急性または慢性腰痛 ということになります。

 その他、急激に腰痛を生じる内科的な疾患としては、大動脈解離・尿管結石など があります。通常の腰痛とは臨床像が異なるので、専門医であれば早期に発見が可能です。


 A慢性腰痛になるのはどんな場合か

  @)解剖学的な要因がある場合
    a) 側弯が強い場合:凸側の筋肉に常にストレスが加わります。
    b) 腰椎分離症:ただし全てが腰痛になるわけではありません。
    C) 腰椎圧迫骨折後の偽関節:腰椎が不安定になります。
    単なる変形性腰椎症などでは、慢性腰痛になるとは限りません。
    
  A)筋肉の線維化を生じた場合
    筋・筋膜性腰痛が長く続くと、筋肉の硬い状態がもとに戻らなくなります。トリガー
    ポイント注射をするとき、針の先にバリバリという抵抗を感じます。これが筋肉の線
    維化です。高齢者の腰痛でよく見られますが、職業性腰痛でもこの経過をたどること
    がたびたびあります。逆に3カ月以上経過した腰痛であっても、筋肉が線維化していな
    ければ、うまく治療すれば腰痛は消失します。
  B)精神的な要因がある場合
    診断のつかない腰痛の多くが精神的な要因であるという人もいますが私はそうは思
    いません。原因が十分に調べられていないだけのことだと思います。しかしながら、
    鬱や強迫神経症のために腰痛が持続している場合も少なからずあります。また、労
    災や交通事故など補償問題が絡んでいる場合も慢性の経過をたどることが多いです。
    交通事故では被害者意識も加わって、さらに経過が複雑になることもあります。


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