腰椎圧迫骨折 腰椎圧迫骨折 腰椎圧迫骨折 腰椎圧迫骨折

 腰椎圧迫骨折は外から強い力が加わって起こることもありますが(多く
の場合破裂骨折となる)、腰椎が骨粗鬆症などでもろくなっていると、し
りもちをつく程度の軽微な外力で圧迫骨折が起こることも頻繁にあります。
 右のレントゲン像では矢印の椎体に圧迫骨折があります。これは圧迫骨
折がおこってから時間が経過して固くなった状態(骨硬化した状態)で
す。ここまで骨硬化して腰椎が安定すると圧迫骨折自体の痛みは無くなり
ます。(ただし、姿勢が前かがみになるので背筋に常にストレスが加わり、
それによる筋・筋膜性腰痛は生じます。)
 治療の基本は、まず安静です。ベッド上で1か月ほど寝ておくことが多
いですが、体にギプスを巻いて日常生活を送ってもらうこともあります。

 圧迫骨折が起こって最初からこのような形になるわけではなく、
最初はレントゲンで見ても変形が分りません。1〜2カ月かけて、
右図のように徐々に変形が進んでゆきます。

偽関節

 場合によっては、骨折部がくっつかず
不安定な状態(偽関節)になることもあ
ります。右の写真では矢印の部分が偽
関節です。立位では臥位に比べて椎体
の前方が潰れて見えます。
 偽関節で生じた腰痛は、薬や理学療
法あるいはブロック注射などの保存的治
療ではなかなか良くなりません。偽関節
部を骨セメントなどで固定する手術(
体形成術
)が行われることもあります。


 圧迫骨折を予防するために ⇒ 骨粗鬆症の治療



 圧迫骨折で手術を行うのはどんなときか。

 腰椎圧迫骨折は通常、手術を行いません。しかし、次のような場合には手術をした方が、 日常生活における支障が少なくなることが多いです。

 1.骨折部分が後ろに飛び出して神経を圧迫すると、徐々に下肢麻痺・膀胱直腸障害を
   きたすことがある(圧迫骨折後遅発性麻痺)。この場合は、神経の圧迫を除く手術
   (除圧術)を行う。

 2.偽関節を生じて腰痛が強い場合、骨セメントを骨折部に注入して安定化させる手術
    (椎体形成術)を行うことがある。また、圧迫骨折初期に離床までの期間を短縮する
   ために、同様の手術を行う場合もある。
   ただし、これが効果なしとする報告もあるので治療を受けようとする人は慎重に。

 椎体形成術は、レントゲン透視下で行うので放射線科で行われることが多いようです。しかし、 整形外科と放射線科の見方はちょっと異なっています。整形外科では手術の見栄えよりも生活に どれだけ障害になっているかということに重きを置くので、放射線科に比べて手術する症例を 選別しているようです。また、椎体の固定に関しても骨セメントによる合併症を防ぐために、 人工骨を使用している場合も多いです。どちらが良いとここでは言明を避けますが、この治療を 受けるためには、違う科でセカンドオピニオンを受けたほうが良いと思います。


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