特発性側弯症
特発性側弯症 14歳女性
変性側弯症
変性側弯症 77歳女性

 側弯症には様々な種類のものがありますが、ここでは特発性側弯症と変性側弯症という2つの重 要な側弯を取り上げます。

1.特発性側弯症

 「特発性」というのははっきりした原因が無い(というより、判っていない。)
という意味で用いられます。特発性側弯は成長期に進行してゆき、成長が止
まるとそれ以上あまり進みません。小中学校で側弯の検診を行っているのは
そのためです。
 側弯というと「横に曲がっている」という印象がありますが、実際には「捻じれ
ている」といった方が正しいでしょう。
 典型的には、右図のように腰椎部分と胸椎部分のダブルカーブで全体として
S字になっています。多くの場合2つのカーブが打ち消しあって体が傾かない
ので、外見上側弯が判らない場合もあります。家族すら気が付かないことがあ
り、検診の意味もそこにあります。
<症状>
 軽度〜中程度の側弯では、症状はほとんどありません。重度の側弯になると、
胸郭の動きが悪くなって呼吸機能が低下することもあります。側弯のある人が
高齢化すると、腰椎の変性がおこりやすく腰痛の増強や下肢のシビレなどをき
たしやすいようです。
<治療>
 重症度に応じて異なります。中等度の場合、コルセットで矯正することも行
いますが、簡単に治るというものではありません。高度の場合、手術を行うこ
ともありますが、かなり大変な手術です。とにかく、治療はこれがベストとい
うものは無いので、専門医と十分相談して下さい。

2.変性側弯症

 これはその名の通り、腰椎の特定の部分が変性して起こる側弯です。
どこが変性を起こすかというと、椎間板と椎間関節です。右の写真で
は黄色い矢印の部分で椎間板が狭くなっています。
<症状>
 側弯の凸側(この写真では向かって右)の筋肉に大きなストレスが
かかりますから、この部位に疼痛を訴えることが多いようです。また、
椎間板の高さが減って、椎間関節が変性している部分では神経の出
口が狭くなり、下肢痛やしびれがでることもあります。
<治療>
 まずは保存的治療です。(リハビリ→薬→ブロック注射)という具合で
す。それで改善しない場合は、手術をすることもあります。神経圧迫によ
る神経症状があった場合、神経の圧迫を取り除くことについては異論は
無いと思いますが、変形を矯正するか、固定術を行うかについては、賛
否両論です。

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