ストレッチは固くなった筋肉を伸ばすことにより柔軟性を回復し、
血流を改善するために必要です。
しかし、どのような場合にストレッチが有効かをわきまえないと、
逆効果になることだってあります。ストレッチは万能ではありません。
<筋肉の状態を表したイメージ図>
@通常状態の筋肉
Aひきつった筋肉
B常に外から緊張が加わり
血流が悪くなっている筋肉
C線維化して固くなった筋肉
筋肉の状態によるストレッチの効果
@通常の状態で筋肉を使った場合
通常、筋肉をよく使ったあとは老廃物がたまり、時間が経つと筋肉痛をきたします。
筋肉を使ったあとの軽いストレッチは老廃物の排出を促進し、
筋肉の柔軟性を保つのに役立ちます。
Aひきつった筋肉(ぎっくり腰など)
ひきつった筋肉に短時間の間にストレッチをかけると、
筋肉はいったん強く収縮しますがその後すっと弛緩します。
この原理を応用したのがカイロプラクティクの手法です。
しかし、場合によっては筋肉が弛緩しないばかりか、
よりダメージを与えることもあるので注意が必要です。
一方、ひきつった筋肉をゆるめる方向にもってゆき、
少しの間おくと自然に筋肉はゆるんでゆきます。
これを応用したのがオステオパシーにおけるカウンター・ストレインという手法です。
筋肉が有る程度緩んだあとは@で述べたように軽くストレッチを行えば良いわけです。
B筋肉に常に緊張がかかり、血流が悪くなった状態
これは、例えば前かがみの姿勢を続けて腰が痛くなった場合などです。
このような状態でストレッチをすると、より筋肉の血流を悪化してしまいます。
この場合はストレッチよりも、筋肉を緩めた状態をしばらく続けることのほうが大切です。
C線維化して固くなった筋肉
筋肉の線維化が起こると、筋肉は弾力性が無くなり、
すぐに疲労を起こして痛みが出やすくなります。慢性化した腰痛でよくみられます。
こんな場合にストレッチが効果があるかどうかは分かりません。
激しいストレッチは逆効果でしょう。軽いストレッチをすれば、
少しずつは柔らかくなるのかも知れません。
線維化した筋肉をもとに戻すことは、今後の課題でしょう。
腰痛に対するストレッチ
上で述べたように、腰痛の違いによってストレッチの方法を変える必要があります。
有名なマッケンジー体操も実はストレッチの一種です。
基本的には腰かけて行いますが、骨盤を安定にすることで正確なストレッチができます。
右側をストレッチするためには、左前に体を傾けて右肩をあげます。
このとき、体の曲げ方によってストレッチする部分をコントロールすることができます。
腰の下の方が痛い場合は腰の下の方で、上が痛い場合は上の方で曲げます。
また、体をどの方向に曲げるかによってもストレッチできる筋肉が違います。
このように、目的とした筋肉を個別にストレッチする方法は、
"Individual Muscle Stretching"と呼ばれます。
腰痛予防のためのストレッチ
腰痛を予防するためには、上で述べた腰部のストレッチ以外に股関節周囲のストレッチが有効です。
このストレッチの目的は、殿部の疼痛を軽減するだけでなく、
股関節周囲を柔軟にすることにより腰部にかかる負担を軽くするということです。
@片足ずつ行うと、殿部の筋群がストレッチできます。
A両足を同時に曲げると腰椎と骨盤の境目で腰部の筋群のストレッチができます。
B骨盤を動かさないように行うと殿部の筋群を、
骨盤を一緒に動かすと一部の腰部の筋群もストレッチすることになります。
C大腿四頭筋のストレッチで、片足ずつ行います。
ただし、無理に行うと背筋がひきつることになるので注意してください。