
腰椎椎間板ヘルニアの8割は、手術をしなくても治ります。しかし、次のような場合は手術の適応
となります。
1) 下肢に麻痺を生じた場合(つま先が上がらない、つま先で立てない等)
2) 排尿障害(膀胱機能の麻痺、尿がでない状態)を生じた場合
3) 早く治して仕事に早期に復帰したい場合(社会的適応)
手術の目的は、神経の炎症の原因となっている脱出した髄核(ヘルニア)を取り除くか、
出かかった髄核による椎間板の突出を減らすことです。
基本的に「髄核摘出術」ですが、以下のような様々な方法があります。
a) Love法
b) MED MicroEndoscopic Discectomy
c) 経皮的髄核摘出術
d) PLDD Percutaneous Laser Disc Decompression
a)は最も古典的な方法です。右図の@のように侵入し、直視下に
ヘルニアを取り除きます。慣れれば30分位で終了し、翌日には歩
けます。安静期間や入院期間は絶対的なものではなく、施設によ
って異なります。 ⇒参考
b)はa)と同様の内容を内視鏡を使って行うものです。メリットは切
開が小さいので背筋をあまり痛めないこと、内視鏡を使うので細か
い部分が観察できることなどです。
デメリットは、a)よりは時間がかかること、
十分な習熟を積まないと合併症を起しやすいことです。
最終手術成績はa)もb)もあまり変わらないようです
(⇒報告)。
c)は、右図のAの経路で椎間板内に直径約4mmの管を挿入して髄核を取り除く方法です。
局所麻酔で治療可能ですが、脱出したヘルニアを直接取り除くわけではないので、
効果の得られる症例が限られます(年齢が若いこと、ヘルニアが完全脱出していないことなど)。
d)はc)と同様なことをレーザーを使って行うものです。右図Aの経路から機器を挿入し、
レーザーを椎間板内に照射して髄核を蒸発させる方法です。これによって椎間板内の圧力が減少し、
神経の圧迫が軽減されるというものです。
これも、脱出したヘルニアを直接取り除くわけではないので、
効果のある症例は限られます。
手術を勧められた時、もう一度次のことを考えてみて下さい。
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