BS−POPとは、
       " Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients"
の略です。訳すと、
      「整形外科患者における精神医学的問題を知るための簡易問診票」
ということになります。慢性疼痛には、心理的社会的因子が深く関与しているので、 疼痛患者の診断・治療においては、精神医学的問題を評価する必要があるとされています (⇒参考文献)。 そのために考案されたのが「BS-POP問診」です。この問診は2つのステップで評価 されます。まず一つ目は、"BS-POP医師用" です。次の表を用いて医師が患者さんを チェックします。これはそのままの内容を患者さんに聞くのではなくて、一連の 診察のなかで医師が判断して適する項目にチェックを入れるわけです。

  表1 BS−POP医師用  
質問項目
回答と点数
1.痛みのとぎれることはない。 1.そんなことはない 2.時々とぎれる3.ほとんどいつも痛む
2.患部の示し方に特徴がある 1.そんなことはない 2.患部をさする 3.指示がないのに衣類を
 脱ぎ始めて患部を見せる
3.患肢全体が痛む(しびれる) 1.そんなことはない 2.ときどき 3.ほとんどいつも
4.検査や治療をすすめられたとき、不
 機嫌、易怒的、または理屈っぽくなる
1.そんなことはない 2.少し拒否的 3.おおいに拒否的
5.知覚検査で刺激すると過剰に反応
 する
1.そんなことはない 2.少し過剰 3.おおいに過剰
6.病状や手術について繰り返し質問
 する
1.そんなことはない 2.ときどき 3.ほとんどいつも
7.治療スタッフに対して、人を見て態度
 を変える
1.そんなことはない 2.少し 3.著しい
8.ちょっとした症状に、これさえなけ
 ればとこだわる
1.そんなことはない 2.少しこだわる 3.おおいにこだわる


 え、こんなことをチェックされているのか、と思う人もいるでしょう。 このチェック内容を知って受診態度を変えようとする人もいるでしょう。でも 本当に精神医学的問題点のある人は、これを知っていても変えられないと思います。
 2つ目はBS-POP患者用です。これは、患者さん自身が答える内容です。

  表2 BS−POP患者用  
質問項目
回答と点数
1.泣きたくなったり、泣いたりすることがありますか 1.いいえ 2.ときどき3.ほとんどいつも
2.いつもみじめで気持ちが浮かないですか 1.いいえ 2.ときどき 3.ほとんどいつも
3.いつも緊張してイライラしていますか 1.いいえ 2.ときどき 3.ほとんどいつも
4.ちょっとしたことが癪(しゃく)にさわって腹が立
 ちますか
1.いいえ 2.ときどき 3.ほとんどいつも
5.食欲はふつうですか 3.いいえ 2.ときどきなくなる 1.ふつう
6.1日のなかでは、朝方がいちばん気分がよいで
 すか
3.いいえ 2.ときどき 1.ほとんどいつも
7.なんとなく疲れますか 1.いいえ 2.ときどき 3.ほとんどいつも
8.いつもとかわりなく仕事ができますか 3.いいえ 2.ときどきやれなくなる 1.やれる
9.睡眠に満足できますか 3.いいえ 2.ときどき満足できない 1.満足できる
10.痛み以外の理由で寝つきが悪いですか 1.いいえ 2.ときどき寝つきが悪い 3.ほとんどいつも


 以上のデータがそろったら、次の判定基準にもとづいて判断されるわけです。

  判定基準
 医師用11点以上、もしくは医師用10点以上かつ患者用15点以上の場合 精神医学的問題点の関与が疑われる


 注意すべきは、この問診で精神医学的問題点の関与が疑われたとしても、それによって 痛みの全てを精神的なものとしてはいけないといことです。あくまでも、真の疼痛の原因 は何かを見出すべく努力しなくてはならないのです。

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